【標本作り】ミヤマクワガタの “ はね開き ” 展足をご紹介!(2022/12/6)

こんばんは。(くもり、時々小雨)レモンパイです。今夜はパエリアを作ってみました。

パエリア(レモンパイの料理)

今まで “ もどき ” は作ったことがあったのですが、サフラン魚介を使ったのはこれが初めて。エビ味噌等の旨味を吸ったご飯が美味しかったです。そして、深夜になってもリビングがエビ臭かったです。(笑)

 

ミヤマクワガタの翅開き標本を作ってみました!

それでは、本題に入ります。「昆虫標本記事」の投稿です。だんだん寒くなりクワガタ&カブトムシの飼育方面ではやることがなくなってきたので、先日は乾燥させながら溜めてきた成虫の死骸をいくつか展足してみました!その中から、今回はミヤマクワガタ成虫の展足についてご紹介します。

 

展足に必要なもの

まず、今回の展足に使用したものの一覧はこちらになります。

● 十分に乾燥させた死骸
● 有頭虫ピン(=志賀昆虫針の3号)
● 発砲スチロール(←展足用の土台)
ピンセット
● 鍋(←標本作成専用の安物)
● 水(←死骸をふやかす為)
食器用中性洗剤
(←死骸の油抜き用)
○ ラップ(←死骸を水に沈める為)
○ キッチンペーパー(←同上)
○ 消しゴム(←翅の固定用、代用可)
○ 厚紙( ←同上)
○ マスキングテープ(←同上)
○ スポンジ(←同上)

「●」で示したものが基本グッズで、「○」で示したものがあった方が好ましいグッズです。今回は初めて翅を広げてみたいということで、その分必要なグッズも増えています。それでは、ミヤマクワガタの展足についてご紹介します。

 

ミヤマクワガタの展足

一応オスとメスで分けていますが、基本的な流れはオスの方でご説明しています。m(_ _)m

桧枝岐産のオスの展足

ミヤマクワガタの展足過程 オス①

まずは、こちらがオスの死骸です。今年の夏、両親の ※ 東北地方への旅行の際に、後半の日程だけ運転要員として同行したのですが、帰りに寄った福島県桧枝岐(ひのえまた)村の山で捕まえた個体になります。生きているオスを捕まえたのはこれが初めて。でも見つけた当初から動きに少し違和感があって、こと切れる2日くらい前から腐敗臭がしていました。どこか壊死していたから動きが鈍かったのかな?

彼の死後は、数日間を扇風機の風に晒して、その後は室外の雨の当たらない風通しの良い場所に置いていました。<手順0>乾燥させてから展足する場合は、

① 個体が死んだらすぐ乾燥工程に移る
② 水分の大半は早めに抜く

ことが大切です。個体の生死状況を把握するには、ゼリー交換や水分補給以外のタイミングでこまめに確認する必要がありますね。また、密閉容器に乾燥剤や除湿剤と一緒に死骸を入れて水分を抜く方法がありますが、腐敗臭が籠って死骸に染み付く等のリスクもあるので、最近の私はとにかく風通しの良い場所に放置することを心掛けています。

ミヤマクワガタの展足過程 オス②

ミヤマの話に戻ります。彼の場合は、死後の乾燥工程中に自然に上翅が開いてきました。開く個体と開かない個体の差は分かりません。今回は翅を開いての標本にしたかったので特に問題はないですね。開きやすくてラッキー。(^^)

ミヤマクワガタの展足過程 オス③

今回も、最初に行うのはぬるま湯によって体内に水分を吸わせ、<手順1>柔らかくする作業です。上の写真ではミヤマのオスはいませんが、同じように鍋に水を張って火にかけました。死骸は浮いてしまいますし、他の死骸もあると脚などが絡まって破損する可能性があるので、1匹ずつラップに包んだ状態で浸水させることに。水の温度は熱過ぎると目が白くなってしまうものの、かといってぬる過ぎても関節の動きが悪いです。基本的には温度が【40~50℃】の範囲に留まる程度に十数分~数十分くらい放置して、作業を始める(再開する)直前に【60℃】まで温度を上げ直すようにしました。

ミヤマクワガタの展足過程 オス④

また、今回は初めて “ 油抜き ” を意識することにしました。ふやかす水の中に食器用中性洗剤(ジョイ)を数滴入れたのです。界面活性剤の影響で死骸内の油が水に溶け出しますが、実のところ今までのノコギリやコクワの標本作り経験からすると油抜きの必要性を感じたことがない・・・でも、これまで作ってきた標本から数年後に油が浸み出てくるかもしれないですし、ミヤマのような身の厚い個体だとそのリスクが高いかもと思い行いました。ちなみに写真内にはキッチンペーパーが写っていますが、ラップに包んだ状態でも死骸が浮いて来たのでその上に重しとしてキッチンペーパーを被せたということです。

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑤

鍋から取り出して最初に行ったのは、<手順2>大あごを開く作業です。クロスしていた大あごを片方ずつ片方の手(親指&人差し指)で摘まんで、内歯(大あごのトゲトゲ)を折らないように意識しながら開きました。ただ、先に片方だけ開いてしまったので、そのままもう片方も開こうとすると “ 先に開いたあごの外れてしまうリスク ” がありました。そこで、写真内の頭部の出っ張りを親指と人差し指で摘まみながら、もう片方のあごを開くことに。注意しなければいけないのは、出っ張っている目を摘まんでしまうと潰れる可能性があること。指にとても神経を使いましたね。(汗)

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑥

大あごを理想的な幅に開けることを確認したら、次は<手順3>脚の関節の展開です。ピンセットを使って、【腿節(付け根の脚)】→【脛節(中間の脚)】→【ふ節(爪のある脚)】の順番でそれぞれある程度開きます。ピンセットを離すとどのみち戻ってしまいますが、ストレッチさせることが重要なのです。また、ピンセットで動かしていると外れそうな部位も分かるので、後で慎重に作業するとか、または弄らないといった選択を頭に入れることが出来ますね。今回は、外れそうな部位のある感触はしませんでした。

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑦

脚の次は<手順4>上翅の展開です。今回のオス個体の上翅には元々隙間があったので開きやすかったですが、そうでない場合は写真内の位置にピンセットを挿し込んで開きます。先端の細いピンセットがないなら、虫ピンで隙間を作りましょう。付け根は結構丈夫なので、外れることよりもピンセットで摘まんだ部位を破損させないことを意識します。

上の写真では、撮影の為に胸部を摘まんでいます。ただ死骸の状態によっては胸部と腹部が外れやすい場合もあるので、翅を広げる際は腹部を持つのが理想です。

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑧

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑨

上翅をある程度開けたら、<手順5>後翅の展開へ移ります。大きく1回折り畳んであるだけなので、先端の細いピンセットで折り目を引っ掛けると傷付けずに引き出すことが出来ます。今回初めて後翅を触って驚いたのですが、クワガタの後翅はなかなか丈夫です。縁のない後方部はあまり触らない方がいいですが、濃い茶色い縁になっている前方部は丈夫ですし、付け根は上翅より丈夫な印象です。折り目は強いので、上の写真にあるように指で折り目を圧迫して後翅が出っ放しになるようにします

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑩

下準備は整ったので、本格的に展足していきます。翅の閉じた一般的な標本では、上翅に隙間が出来るのを防ぐ為に小楯板(ショウジュンバン)のやや斜め後方に虫ピンを刺すのですが、今回は翅を開くので<手順6>小楯板の真下にピンを刺しました。もちろん、斜め後方に刺したければそれで構いません。刺す際は、後翅を貫通しないように注意が必要です。腹部を貫通したら、土台である発砲スチロールに刺しましょう。

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑪

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑫

続いては、<手順7>上翅と後翅の固定に移ります。上翅については、開いた場所で止まってくれやすいので特にコツはありません。後翅について、今回は厚紙を半分に折ったものをマスキングテープで閉じて “ 後翅用の平たいカバー “ を作り、それに後翅を通して伸びるようにしました。また、カバーの下に消しゴムを置いて高さを作り、ミヤマに刺したピンも摘まみながら本体の高さも調整。理想の “ 羽ばたき感 ” を目指しましょう。

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑬

ミヤマクワガタの展足過程 オス⑭

あとは、<手順8>通常通りに展足する作業です。腹部の後方2箇所を固定する役割のピンを2本刺して(腹部を挟んで)、大あごを開いて固定し、脚や爪、触覚、あごヒゲをピンセットで引っ張りながらピンで固定していきます。

ミヤマ本体に刺す虫ピンは、腹部中心に刺した1本だけです。

展足が完了したら、最後に<手順9>乾燥させるようにします。現在自宅では灯油ストーブを使っているので、人が前に居ない時は火事に注意しながらストーブの前に置いたり、扇風機の弱い風を当て続けたり。展足から5日後に、後翅用のカバーや本体に刺さったピン以外のピンを取り除いて、これにてオスの標本は完成です。

地元産のメスの展足

ミヤマクワガタの展足過程 メス①

続いては、メスの展足についてです。こちらは地元神奈川県の某山で捕まえたメスの死骸。乾燥から展足まで、やることはオスとほぼ同じです。注意点としては、展足の前に大あごを開くことを忘れないこと。ピンセットの2本使いで開きました。

ミヤマクワガタの展足過程 メス②

ミヤマクワガタの展足過程 メス③

このメスはちゃんと上翅が閉じていたので、先端の細いピンセットで隙間を作って開きました。後翅はオスと同じ構造ですね。

ミヤマクワガタの展足過程 メス④

このように展足してみました。オスの場合は厚紙と消しゴムで後翅を広げましたが、こちらではスポンジを土台に紙で後翅を抑え付け、その紙をピンで貫いて固定しました。こういう方法もあります。

翅も展足したミヤマクワガタの成虫

今回展足した2匹を並べると、このような感じです。標本箱に収納するのか、壁掛けのアートにするのかはまだ検討中です。

 

最後に

私自身、まだクワガタの展足歴は浅いので、他の展足方法について網羅しているわけではありません。今後は個体の死後に冷凍させる方法などを試していこうと思います。

 

大前提として、死骸を腐敗前に乾燥させることに成功しても、臭いがなくなるわけではありません。中華の具材等に用いられる干しエビに臭いがあるのと同じです。その臭いを出来るだけ抑える為に、腐敗前の乾燥が重要になりますし、標本を完成させた後も乾燥剤や消臭剤や使い続ける必要があるのです。

 

本日のメダカ写真

「撮って載せたいメダカがいない...」という状況が連続していますが、それでも撮ってみました。メダカブログですので(汗)

赤虎メラーメダカ P ①

赤虎メラーメダカ P ②

自宅で赤虎メラーメダカ P と呼んでいる子達です。メラー(=先天的なヒレ裂け)の表現ではありませんが、どの個体も、父または母のどちらかがメラー個体となっています。

 

最新は今年生まれの F1 世代でして、ちゃんと全員チェックしたわけではないもののメラー表現の個体がいないんですよね・・・メラー同士の交配なら遺伝率がほぼ 100%なので、異種交配の孫世代では 25%くらいの確率でメラー個体が出ると期待していたら、そうでもないという。

 

本日はここまで。

当ブログをご覧いただき、ありがとうございました!!